浪漫草紙

~生れる前の昔恋しき~

「月の裏側」

まだ「まひるの月を追いかけて」をまったり読んでいるというのに、後から読み始めた「月の裏側」を一気に読んでしまった。
「まひる」は前に読んだことがあったが、「月の裏側」は初めて読んだ。

月の裏側

月の裏側

Amazon

こんなに夢中になった小説は久々かもしれない。
これはなんや?なんや…?と気になって、ページを進めてしまう。
あんなに没入して読むことができるのなら、それで充分。
何もかもがすっきり解明される大団円なんて期待していない…と思いながら読んでいたが、本当にその通りだった。
何もわからないまま終わる…。

没入できる読書体験を求めているのだから、読んだ時間を無駄にしたとは思わないし、オチなんて、どうでもいい。
うん…没入して、しばし現実を忘れられるなら、それで充分…柳川をモデルにした町の雰囲気はいいと思うし、抒情的なノスタルジアを感じる。
「水の構図」という写真集も気になる、何より柳川が気になる。
「まひる」でもそうだったけど、柳川も行ってみたいという気になる。
読み終えてから、改めてカバーの絵をみると、掘割の水面の描かれ方が意味ありげに見えてくる…。

恩田陸は10年ほど前によく読んでいて、また、当時読んだことのある本(手放した)も含めて、最近何冊か買って、あと4冊控えている。
初めて読んだのは何だったのか、全然覚えていない。学園物は好みじゃないし、シリーズ化されているものも読んでいない、直木賞を取った作品だって読んでいない。今まで、どのぐらい恩田陸作品を読んでいるのだろう…。
主にブックオフなどの古本か図書館で読んだ。新刊や単行本を買ったことはないけど、今回、新刊書店で文庫本を一冊買った。「チョコレートコスモス」「中庭の出来事」(この二作は読んだ覚えあり)「木漏れ日に泳ぐ魚」「灰の劇場」の4冊。