浪漫草紙

~生れる前の昔恋しき~

日常に潜むミステリー~赤いキャリーバッグの謎~

雨の予報だというのに、降りそうで降らない不快な曇天が続き、低気圧に押し潰されそうなドンヨリとしたわたしの視界の端に赤いものが通り過ぎてゆく。
「あ、またあの人…」

その人はいつも赤いキャリーバッグを引いていた。
ただ赤いのではない、リボンをつけた白猫の某キャラがでかでかとプリントされている。
正直にいって、その人の年配-老人といっていい-には可愛らしすぎて、似合わない。
はっきりいって奇異だった。
毎日見かけるかどうかわからないが、いつも目を引く。
朝、通勤途中の信号待ちで見かける。
いつも気にはなるけど、その後、仕事や雑事に流され、忘れてしまうが、今日は日常に潜むミステリーっぽく書き留めることにする。

なぜ、あの人は、いつもあんなキャリーを引いているのか?
どこへ行くのか?
布製のキャリーバッグだが、パッと見は中身が入っているようには見えない。
挙動はいたって普通のようではある。
何が入っているのか?
何を入れるのか?
買い物?
しかし、スーパーなどには少し遠いし、まだ開いている時間でもない。
仕事?
もし自分の父親ならば、何、持って出かけんねん!という話である。止めるわ!というか、本人が絶対嫌がる。

通りすがりのじいさんが何、持ってたって関係ないと思うドライなわたしの好奇心を妙に刺激する。

なんかこんな感じのコージーミステリーでもありそうやないか、なんかネタにしたんねん…とりあえずブログのネタに…なんかこんな感じの小説を…小説の種を拾ったんだと…!