浪漫草紙

~生れる前の昔恋しき~

有吉佐和子記念館へ

有吉佐和子記念館へ行った。

電車から見た紀ノ川は幅が広くたっぷりとしていた。

電車で和歌山へ行くのは久しぶりだった。
和歌山は人が少ない…そんな印象は変わらない。時間の流れ方もちがう気がする。

作家の住んでいた家を訪れるのは、谷崎潤一郎の倚松庵に続き、二度目だった。
倚松庵は昔から場所は変わらないけれど、有吉邸は東京から移築されているのが本当に凄い。それもわざわざ紀ノ川沿いに。
2022年に開館していた。
南海の駅からも見えている距離だし、いい土地があったんだなと思った。

思ったよりもこじんまりとしていると思った。
自筆の原稿の束…一作分はこんなにも…!書斎を見れば、ここで執筆していたのか…!と感激した。愛用の万年筆はパーカー。
カフェスペースでは、食事メニューは茶粥の定食しかないのかと思っていたら、しらすのピザもあったので、それを注文した。
汁物・小鉢付きとあったが、汁物が粕汁(味噌入り)でびっくりした、スープやないんか。

茶粥は…和歌山や奈良の郷土料理だろうけど、わたしはあのほうじ茶で炊いた茶色いお粥が苦手だった。うちでは煎茶で茶粥を炊く。

「紀ノ川」で印象的なのは、白蛇のエピソードと和歌山城に登って、六十谷の真谷家のほうを眺めるシーン。
白蛇って…「斜陽」にも似たような話、出てこなかったか?と青空文庫で、ちょっと見てみたら、あれは蛇の卵を焼くんだった…それで母蛇が後から卵を探すんだったか…そっちもまた読み返してみようか。

その後、市立博物館にも有吉さんの展示があるというから行ったけれど、こわいぐらいひっそり閑としていた。

こわいといえば、2021年に閉館したという和歌山市民会館も草茫々の廃墟然とした佇まいで妙に印象的だった。