浪漫草紙

~生れる前の昔恋しき~

<まことの心>

人魚姫が好きだと書いた。人魚姫のことを思えば、たいていのことは耐え忍べると思っていた。
人魚姫は声を失っているから、王子に何も伝えられないけれど、人は声があっても、伝えたいことを伝えられるとも限らないと思う。まして、本当のことなど、なかなか口にはできない。それはやさしさからなのか自己保身からか、いろいろあるだろけど。なんでも口に出せる人もいるけど、わたしは出せない側で、そんな人を羨ましいを通り越して、妬ましくて呪わしい気持ちになり、あれやこれやと疑心暗鬼になったりした。えぇ…そんな自分を救うのが短歌を詠むことなのだと思い始めたこの頃で、ほんと、晶子さんの記念館、行ってよかったな、行ってなきゃ、短歌、詠もうなんて気になってない。

<まことの心>…本当のことをなかなか言えないという話に戻る。

それに関して、また「君死にたまふことなかれ」について考えていた。

そんな<まことの心>をあの時代にうたいあげるのは、いかばかりだったか…勇気がいっただろう…と軽く片づけられない。勇気というよりは、ただただ弟の身を案じていただけか。反戦というには個人的。

「君死にたまふことなかれ」は現代語訳するならば、どうか死なないでください、または生きて帰ってください、となるのか。

ってことで、今日の短歌(毎日、ブログに載せようって気もないが)

<言葉もてぶつけるは愛それとも呪い君の心は計り知れずや>

<人恋うは妬み疑い飢え渇き無間地獄に陥る心>

<もしかしてひょっとしたらと揺れ惑う思い上がりか問うすべもなく>

三十一音に収まり切れていないけど…そして現代言葉で書いてもいいけど、古風なのはわたしの趣味。